ネット証券の料金

 新政権は、国内では、官製市場を縮小し、民間市場経済を拡大する真の構造改革を、口先だけではなく、本当に進めるべきである。
国外では、グローバルな市場経済の中で、アジアの新興国・途上国に、日本の高い技術に裏付けされた「スーパーエコ日本計画」と高齢化先進国の経験に裏付けされた「安全ネット日本計画」の途上国版を技術と資金の援助と共に提供し、アジア経済の自律的成長を促すべきである。 またアジア独自の通貨協力体制を強化し、同時にアジアの包括的自由貿易協定を実現し、世界経済の発展をもっと積極的に牽引すべきである。
米欧経済が立ち直らない限り、日本経済は立ち直れないという考え方は、○一〜○八年の超低金利、円安、外需依存の延長線上にある発想で、およそ想像力を欠いた考え方にすぎない。 「政治とは生活だ」「国民の生活が第一」。

これは二〇〇七年七月の参議院選挙で、O民主党が掲げたスローガンである。 O代表(当時)の顔写真の上にこの文字が踊るポスターが大活躍し、参議院選挙は民主党の大勝利に終わった。
これを見た自民党も、○八年一月の党大会において、これからは、「生活重視の政治」に切り換えると宣言した。 いまや各党こぞって「国民生活重視」の大合唱となっており、A首相は○九年五月に突然厚生労働省を国民生活省と社会保障省に分割すると言い出して政府・自民党内の反対に会い、引込めるという一幕もあった。
総選挙では与野党入り乱れて生活重視を訴えるであろう。  しかし現実の国民生活は、政治家の大合唱とは裏腹に、○一〜○七年の戦後最長の景気上昇中にもほとんど向上せず、末期の○七年には四重苦ともいうべき状態になった。
その上○八年の第2四半期からは世界同時の景気後退が始まり、国民生活は一段と深刻な状態に陥っている。  第一は景気上昇末期から景気後退初期に生じた、消費者物価の上昇である。
政府がデフレ(物価の持続的下落)がまだ心配だなどと言い続けているうちに、国民生活を支える商品とサービスの価格は、○七年秋頃から上昇し始め、○八年の夏には、ガソリンや食料品の値上がりで、全国消費者物価(除く生鮮食品、以下同じ)は前年比で二・四%の上昇率に達した。  その後、原油、穀物、鉱石類などの国際商品市況は、金融危機に伴う世界同時不況で反落に転じ、また行過ぎた円安も修正され始めたため、消費者物価の上昇率は下がり始め、○八年末には前年比プラス〇・二%とほぼ前年並みの水準に下がった。
○九年中には不況の深刻化も加わって、前年比はマイナスになるであろう。 しかし、○七年秋から○八年末までの間に消費者物価の上昇で受けた国民生活の損失は決して少なくない。
 消費者物価が上昇すると、同じ所得でも買える物やサービスの量が減るので、生活水準は下がる。 よく知られているように、金額ベースの「名目」賃金、「名目」所得、「名目」消費から物価上昇分を割り引いたものを「実質」賃金、「実質」所得、「実質」消費と呼ぶが、この「実質」の方が生活水準を測る尺度になる。

その実質賃金、実質所得、実質消費が消費者物価上昇に喰われて減少し、国民生活が苦しくなったのである。  現金給与総額(厚生労働省調べ)の推移を実質ベースで見ると、○一年度以降、○五年度を唯一の例外として前年比は毎年減少を続けているが、とくに○八年度は、前年比マイナスニ・三%の大幅下落となった。
 国民生活の実感は八年前に逆戻り 第二は、景気上昇期から最近の景気後退期まで、一貫して続いた超低金利である。 ○八年中の三年定期預金の新規預け入れ金利でも〇・五%程度に過ぎないし、普通預金の金利に至っては無きに等しい。
そのような時に○八年中の消費者物価が平均二・五%も上昇したのであるから、将来に備えた預貯金残高は「実質」で目減りした。 加えて株価は、今回の金融危機に伴う世界同時株安で、○七年六月をピークに半値以下まで下落し、バブル崩壊後の最安値(○三年四月)を更新した。
将来に備えた国民の金融資産は大きく減価し、国民の不安は高まっている。  第三に、円の為替相場は、二一世紀に入って○七年中頃まで大きく値下がりした(円安)。
つまり戦後最長の景気上昇期問中、外国の物を買うのに、これまでより多くの円を支払わなくては買えない状態が続いた。 その後○七年後半からは円高に転じたが、実質実効レートで見ると、まだ○一年からの円安の五割強しか戻っていない。
これは、国民生活の対象となっている輸入品の値上がりであり、海外旅行費用の上昇である。 これも国民生活にとって不利である。
 第四に、○八年に入って日本の景気は後退し始め、雇用者が減り、失業者は増えている。 賃金も前述のように実質で下落している。
このため勤労者の名目所得(雇用者報酬)を季節調整済みの推移で見ると、景気上昇末期の○七年末になっても、景気上昇が始まる○一年以前の水準に戻っていない。 更に実質で見ると、○七年第4四半期から○八年第1四半期をピークに最近まで減少している。

米国発の金融危機と世界同時不況で日本の景気は更に悪化すると見込まれ、雇用・賃金の先行きは、一段と不安につつまれている。 このような労働事情も、国民生活を悪化させている。
 以上のように、国民生活の現状は四重苦とも言うべき状態に陥っている。 このため、国民の生活不安度指数や消費者態度指数は、この九年間で最低の水準まで下がってしまった。
戦後最長景気の成果は、国民生活の実感に関する限り何も残っていない。  以下では、この四重苦をもたらしている要因を詳しく見ていこう。
 物価は○四年頃から上がり始めていた 政府はインフレよりデフレを心配し、景気上昇末期の○七年になっても、まだデフレ脱却は確認できないなどと言い続けていたが、企業が国内で取引する価格の平均である「国内企業物価」は、○四年頃から既に毎年二%ほど上昇していた。  他方消費者物価は、○三年まで下落を続けたあとほぼ横這いとなり、○六年に僅かに上昇したあと、○七年秋まではおおむね安定していた。
これは、消費者物価に含まれ、企業物価には含まれないサービス料金が、賃金の頭打ちを反映してほとんど上昇していなかったからである。 その上、消費者物価に高いウェイトで含まれているパソコン、携帯電話などデジタル家電が、大きく値下がりしたことも響いた。
 しかし、企業向けサービス価格は○六年から上昇し始め、また国内企業物価は、石油製品、穀物、鉱石など国際商品市況の高騰を反映して、○七年秋頃から一段と上昇率を高め、一時は前年比七%を超えた。  これらを反映して消費者物価も○七年秋から上昇し始め、遂に前年比上昇率は二%を超え、○八年七月と八月に二・四%に達したのである。
国民生活を圧迫する○七年秋からの消費者物価の上昇は、このように企業物価や企業向けサービス価格の動きを見ていれば十分に予見出来たことであり、政府が本当に国民生活を重視していたのであれば、もっと早くから、デフレよりもインフレの心配をすべきであった。  政府のデフレースパイラル心配は杞憂。
九八年第2四半期から○八年第3四半期までの一〇年間以上にわたって、日本のGDPデフレーターは毎年下落し続けた。
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